2010年7月26日月曜日

英語のsabotageは「怠業」ではない

怠業することを意味する日本の俗語「サボる」は、フランス語の sabotage(サボタージュ)からきた言葉……というのは有名な話です。

英語にも、やはりフランス語由来の sabotage という言葉があります。しかし、これを「怠業」「怠業する」という意味と考えると、えらい間違いです。

フランス語のことは私にはよく分かりませんが、少なくとも英語でいうところの sabotage は「工作」「工作する」というような意味です。ここでいう「工作」とは、「図画工作」の工作ではなく、「破壊工作」「妨害工作」「北朝鮮工作員」といった意味の工作です。

先日来日して話題になった金賢姫(キムヒョンヒ)元死刑囚を、Japan Times は "Ex-North saboteur" などと表現しました。saboteur とは sabotage を行う人、つまり工作員という意味です。

こうした事実を踏まえると、sabotage という行為が、とたんに恐ろしく思えてもきます。気の弱い私などは、「俺、サポステ、サボろうと思うんだ」などという会話を耳にしようものなら、この人はサポステで何か破壊工作でもやらかそうとするのではないかなどとあらぬ想像を一瞬してしまいそうです。

※ サポステ:地域若者サポートステーション。ニート等の人を対象とした通所型の自立支援施設。厚生労働省が全国のNPO等に委託して行っている。

そういえば、私が高校生の頃、英語圏ご出身の先生が「サボる」という日本の俗語表現を妙に気に入っていらしたのを覚えています。ある日などは、職員室で、大変上機嫌に「サボる!サボる!アッハッハーッ!」と、この表現を連呼していました。この先生は、英語でいうところの sabotage の意味をやはりご存知だったのでしょうか。

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