2010年7月30日金曜日

Poverty Trap-働けど貧しい

最近、poverty trap という英語表現を知りました。

失業していた人が仕事を見つけて働き出したとしても、それに伴い、生活保護等の政府からの手当てや控除類が減額されてしまい、貧しい状態から抜け出せない、そうしたことを意味する言葉です。

全国の一部の地域で、生活保護支給額と最低賃金の逆転現象が起きていることが問題になっている中、もっと知られてもいい英語表現です。

ただし、poverty trap は、違う意味で使われることもあります。それについては省略。

* * * * * * * * * *

最低賃金の引き上げが議論になっていますが、最低賃金を引き上げると、かえって失業率が上がる可能性があるのが難しいところです。

教科書的な説明をすると、完全競争市場では、最低賃金の引き上げは経済理論上失業者を増やす結果になります。直感的に言うと、低い賃金なら雇ってもらえた人が、雇われなくなるのです。例えば、ひきこもりの人が社会参加のきっかけとして始める低賃金の単純労働などは、最低賃金の引き上げでなくなってしまいやすそうな仕事です。

しかし、完全競争市場ではなく、企業が一つしかない需要独占の市場では、最低賃金の上昇が、失業率を上昇させる可能性が理論上あります。

実際のところはどうなのか、様々な実証分析が主にアメリカで行われてきましたが、現在のところ、経済学者は、最低賃金の上昇は失業率を増やすと考える傾向があります。


なお、poverty trap という表現は、Pocket Oxford English Dictionary(POD) で知ったのでした。この辞書をパラパラと引いていると、poverty trap という言葉がよく偶然目に入ります。

0 件のコメント: