電子辞書と紙の辞書、どちらが英単語の定着に効果的かという議論をときどき目にします。
■ 電子辞書派の主張
電子辞書派の主張は、短時間で検索できるしその分何度も引ける、複数の辞書を一度に検索できる、他の単語にジャンプしたり例文検索もできる、発音が聞ける、履歴機能があるので復習が便利といったものをよく見かけます。
■ 紙の辞書派の主張
他方、紙の辞書派は、一覧性に優れている、周辺の単語も目に入りその分学習効果がある、書込みができる、苦労して引いた方が覚えられる、(これとは矛盾するが)慣れれば紙の方が検索が早くなる、といった主張をよく見かけます。学校によっては、電子辞書の持込使用を禁止しているところもあると聞きます(もっとも、これは学習効果とは別の理由によるのかもしれませんが)。
■ 両者の比較の研究がある
実は、電子辞書と紙の辞書の比較の研究が行われています。またそれぞれの単語の定着の程度を、実証的に研究する試みもあります。
先行研究をまとめたもののうち、比較的最近のもので、インターネットで無料で読むことができるもののリンクを貼っておきます。いずれも、国立情報学研究所が提供するサービスCiNiiへのリンクです。
◇ 藤井数馬(2008)「紙の辞書と電子辞書の比較に関する報告」『沼津工業高等専門学校研究報告』42, 365-374.
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◇ 寺嶋健史(2005)「英語教育における電子辞書事情 : 先行研究を概観して」『言語文化研究』 25(1), 55-71.
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少なくとも上の2本の論文を読む限り、今のところどちらが優れているとは一概に言えないというのが先行研究が言わんとするところのようです。双方の長所を念頭に、両者を上手に併用するというのも一つの方法かもしれません。
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