斉藤環氏による「社会的ひきこもり」という言葉は、"social withdrawal" という、アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-Ⅳ精神疾患の分類と診断の手引き』に出てくる用語の訳です(斉藤, 1998)。
social は「社会的な」「社会の」などという意味です。 withdrawal には様々な意味があるのですが、その中に「ひきこもり」という意味もあります。ただ、日本で言う「ひきこもり」とは意味が違うのではないかと思います。
"social withdrawal" は、DSMを参照するような専門家のみが使う専門用語というほどのものでもなく、一般にもある程度使われている言葉のようです。
私は一時、Google ニュースアラートで "social withdrawal" をキーワードに設定していたのですが、ヒットした記事は、うつや統合失調症、高齢者によるひきこもりに関するものが多かったように思います。
これらとは別に、子どもの "social withdrawal" に関する情報を目にすることがあります。これはよく分からないのですが、少なくとも Kenneth Rubin 氏などメリーランド大学関係の学術文献については、仲間集団に入れない子に関するものです(姉妹サイト「友達がいない子」参照)。ときどき日本のひきこもり関連文献でメリーランド大関係の "social withdrawal" に関する研究を引用したものが見かけますが、誤解があるのではないかと感じることがあります。
これら以外の場面でも、英語圏で "social withdrawal" という言葉を見かけることがあります。中には、日本のひきこもりに関する記事で "social withdrawal" という言葉を見かけることもありますが、そうでない場合も多いです。
[文献]
◇ 斉藤環(1998)『社会的ひきこもり-終わらない思春期』PHP研究所
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